「湘南に移住したい」までは決まっているのに、茅ヶ崎なのか辻堂なのか、鎌倉なのか葉山なのかで止まっている。2年半前の私がそうでした。
都内のIT企業で働く40代の会社員で、妻もフルタイム、娘は当時まだ小さくて、家族3人で休日に湘南の7エリアを半年ほど歩き回りました。最後は葉山・鵠沼・辻堂の3つで迷って、ひとつは保育園で、ひとつは価格で落ち、いまは辻堂で戸建てに住んでいます。移ってから40代でサーフィンを始めて、朝の海と保育園の送りと仕事を一日に詰め込む生活をしています。
この記事では、そのとき自分が本当に必要だった細かさで7エリアを比べています。市の平均値や「サーフィンの街」というイメージではなく、保育園の保留児童数、辻堂と藤沢の坪単価の差、朝7時台に特急が何本停まるか、といったものです。「通勤」「相場」「子育て」「生活利便」の4つの軸で見比べて、家族の条件別にどこを推すかまで結論を出しました。数字はぜんぶ出典つきで、2026年8〜9月時点のものです。歩いて感じたことや、迷った経緯は後半に書いています。
この記事の「7エリア」の定義
エリア比較の単位は市町村ではなくて、駅を中心にした生活圏にしています。そもそも「湘南」がどこからどこまでなのかは、別の記事で県の行政区分や湘南ナンバーの範囲と一緒に整理しました。
辻堂を藤沢市と分けたのは、坪単価相場が市の平均と2割ほど違っていて、生活の導線も独立しているからです。大船を鎌倉と分けたのも同じ理由で、大船はもともと別の自治体でしたし(1948年に鎌倉市と合併しています)、市も「大船地域」として支所を置いています。
ただし行政サービスのほうは市町村単位で決まるので、辻堂には藤沢市の制度が、大船には鎌倉市の制度がそのまま適用されます。保育や医療、給食の話が出てきたら、そこは駅ではなく市町村の話だと思って読んでください。表ごとにデータの単位は書き添えています。
エリアを並べる順番は駅順(西→東)で統一しました。茅ヶ崎 → 辻堂 → 藤沢 → 大船 → 鎌倉 → 逗子 → 葉山。東海道線を西から東へ進んで、大船で横須賀線に入り、逗子の先に葉山(鉄道駅がありません)を置いた並びです。
条件別の推しエリア
根拠は後半の比較4軸で出しますが、先に結論です。
| 家族の条件 | 推す順 | 理由 |
|---|---|---|
| 共働き+未就学児(毎日都内通勤) | 辻堂 > 藤沢 > 逗子 | 品川41分・東京49分と最短クラス。駅直結の商業施設と、24時間365日の小児救急(藤沢市民病院)が同じ市内にあります |
| 通勤で「座れること」が最優先 | 逗子 > 大船 > 藤沢 | 逗子は朝の上りに毎時4本の当駅始発。大船も湘南新宿ライン始発4本+横須賀線始発、横浜方面の根岸線は全列車が始発です |
| 片働き・小学生以上・予算重視 | 茅ヶ崎 > 逗子 > 鎌倉 | 茅ヶ崎は戸建て坪単価136万円と逗子と並んで7エリアで最も手頃。平坦なので自転車が生活の足になります |
| リモート中心(出社 週1〜2) | 葉山 > 鎌倉 > 逗子 | 毎日通勤という条件が外れて、はじめて葉山が候補になります |
| 車を持たない前提 | 辻堂 > 藤沢 > 大船 | いずれも駅前で生活が完結します。葉山は事実上むずかしいです |
| 「海の近さ」を最優先 | 葉山 > 茅ヶ崎 > 鎌倉 | ただし海に近づくほど坪単価が上がります |
| 通勤時間そのものを最優先 | 大船 > 藤沢 > 辻堂 | 大船は全方面に直通していて最短です |
この表の裏にある構造はわりと単純で、7エリアは「海の近さ」と「通勤のしやすさ」がだいたい逆相関しています。例外が大船で、海を持たない代わりに通勤の強さを持っている。葉山は海が近くて通勤が厳しく、辻堂は海がそこそこ近くて通勤が強い。つまり、どちらを削るかを先に決めてしまえば、候補は半分に絞れます。
湘南の住宅地は、だいたい3つのタイプに分けて考えられます
「茅ヶ崎か辻堂か」という比べ方は、実は湘南だと粗すぎるんですよね。同じ市内でも住宅地ごとに相場も暮らし方もかなり違うので、市単位で語ると大事なところが落ちてしまいます。
いろいろ見て回ってから気づいたのですが、湘南の住宅地はどのエリアでも、だいたい次の3タイプに分けて考えると整理しやすくなります。もちろん例外はあって、あくまで自分が見て回るときに使っていた見方です。
| タイプ | 相場を決めているもの | どんな暮らしを優先する選択か |
|---|---|---|
| ① 駅まち型 | 駅からの距離 | 通勤・保育園・買い物を毎日の徒歩圏に収める。共働きの現実解 |
| ② 環境型 | 駅距離ではなく、その土地ならではの環境(海・歴史・別荘地文化) | 住む環境そのものを最優先する。駅から離れても相場が下がらない |
| ③ 住宅街型 | 駅・海岸から少し離れた立地 | 同じ予算で広さと静けさを取る。車を組み合わせる前提 |
エリアごとに違うのは②の「環境」が大きく、茅ヶ崎と辻堂は海、鎌倉は歴史、葉山は別荘地の文化、という具合です。
| エリア | ① 駅まち型 | ② 環境型 | ③ 住宅街型 |
|---|---|---|---|
| 茅ヶ崎 | 駅周辺(坪110〜120万円台) | 駅の南側から海側にかけて(海+サーフ文化):坪120万円前後 | 北側・相模線沿線(坪50万円台) |
| 辻堂 | 駅北側の再開発エリア | 海側(海):坪180〜190万円前後。駅から離れても相場が下がりません | ─(該当が少ない) |
| 藤沢 | 藤沢駅周辺:4路線のハブ | 鵠沼・片瀬(海+旧邸宅地):坪190〜200万円台 | 湘南台〜北部:坪130万円台〜 |
| 大船 | 大船駅周辺:4路線+駅直結商業+仲通商店街 | ─(大船に②はありません) | 玉縄・岡本・今泉台など |
| 鎌倉 | ─(日常の拠点は隣の大船生活圏が担っています) | 鎌倉駅周辺・由比ガ浜・扇ガ谷(歴史):小町の住宅地は公示地価で坪170万円台 | 内陸の谷戸・関谷など:公示地価で坪30万円台。物件ごとに見るしかありません |
| 逗子 | 逗子駅徒歩圏(坪90〜120万円台) | 小坪・披露山(海+邸宅地) | 沼間・東逗子(坪40〜60万円台) |
| 葉山 | ─(鉄道駅がありません) | 堀内・森戸・一色(別荘地文化):坪70〜80万円台 | 長柄・下山口(坪60〜90万円台。下山口は町内でも高い) |
この表から言えることが3つあります。ひとつめは「どの駅か」より「駅のどちら側か」のほうが影響が大きいことがあるということで、茅ヶ崎と辻堂の市単位の差より、茅ヶ崎の南側と北側の差のほうが大きかったりします。ふたつめは、市の平均値というのは結局「どのタイプの住宅地が広いか」の影響が大きいということ。茅ヶ崎の平均が手頃に見えるのは③の面積が広いという特徴がありますし、鎌倉の平均があてにならないのは②と③の幅が大きいからです。
みっつめが実務的にいちばん役に立ったのですが、予算を調整するには「エリアを変える」と「タイプを変える」の2通りがあります。葉山から茅ヶ崎へ変える話と、同じ辻堂の中で海側から駅の北側へ変える話は、別の意思決定なんですよね。
4つの軸で7エリアを比較
軸は下記4つに固定します。
軸1:通勤・アクセス
この軸は駅単位です。葉山はバス+逗子駅で計算しています。
| エリア | 東京駅 | 品川駅 | 新宿駅 | 主な路線 | 当駅始発 |
|---|---|---|---|---|---|
| 茅ヶ崎 | 53分 | 43分 | 56〜59分 | JR東海道線/相模線 | なし |
| 辻堂 | 49分 | 41分 | 56分 | JR東海道線 | 朝1本(7:47発 上野行き) |
| 藤沢 | 47分 | 38分 | 55分 | JR東海道線/小田急江ノ島線/江ノ電 | JRはなし |
| 大船 | 日中約42分/朝ラッシュ約50分 | 日中約33分/朝ラッシュ約40分 | 51分 | JR東海道線/横須賀線/湘南新宿ライン/根岸線/湘南モノレール | 湘南新宿ライン4本+横須賀線2本。根岸線は全列車始発 |
| 鎌倉 | 57分 | 46分 | 61分 | JR横須賀線/江ノ電 | なし |
| 逗子 | 58分 | 54分 | 64分 | JR横須賀線/京急逗子線 | 毎時4本(6〜8時台) |
| 葉山 | 約80分(バス+鉄道) | 同左 | ─ | 鉄道駅なし。逗子駅までバス10〜25分 | ─ |
所要時間は日中の値です(駅探の検索値をJR東日本の公式時刻表・2026年9月ダイヤで確認)。新宿へは湘南新宿ラインが直通するので、茅ヶ崎・辻堂・藤沢・大船・鎌倉・逗子とも乗り換えは不要です(辻堂は快速のみ停車)。大船だけは朝ラッシュ時の実測を併記しました。日中と通勤時間帯で8〜10分違っていて、移住の判断材料としては後者のほうが正しいと思ったからです。他のエリアも朝は数分〜10分長くなります。
当駅始発については2つ補足させてください。辻堂の朝の上りには当駅始発が1本あって、平日7:47発の上野行きです(2026年9月現在のダイヤ、JR東日本の公式時刻表で「●=当駅始発」の表記を確認しました)。ただし5〜9時台でこの1本だけなので、「辻堂は始発があるから座れる」とは言えません。
大船の当駅始発は複数あります。ただし東海道線の大船始発は現行のダイヤに見つけられませんでした。「大船は東海道線も始発」と書いている記事を見かけるのですが、確認が取れなかったので書かないことにします。
朝の混雑率
| 路線 | 区間 | 令和7年度 | 令和6年度 |
|---|---|---|---|
| JR東海道線(茅ヶ崎・辻堂・藤沢) | 川崎→品川 | 159% | 154% |
| JR横須賀線(鎌倉・逗子) | 武蔵小杉→西大井 | 138% | 134% |
| 東京圏平均 | ─ | 143% | 139% |
出典:国土交通省「都市鉄道の混雑率調査結果(令和7年度実績)」2026年7月公表。
これは東京側の最混雑区間の数字で、湘南区間そのものの混雑率ではありません。路線ごとの傾向の違いとして読んでください。
ここが判断の分かれ目になると思います。所要時間だけ見れば東海道線(辻堂・藤沢)が速いのですが、座れるかどうかで見ると横須賀線(逗子)が強い。逗子は東京まで58分といちばん遅いものの、始発が毎時4本あって混雑率も21ポイント低いので、9分遅いけれど座って行けるという選択になります。
特急「湘南」について
茅ヶ崎から藤沢エリアを検討されている方は、ここは見ておいたほうがいいと思います。
| 駅 | 朝(6〜9時)の上り本数 |
|---|---|
| 茅ヶ崎 | 10本 |
| 辻堂 | 4本(6:34/6:50/8:28/8:54。7時台は0本) |
| 藤沢 | 10本 |
JR東日本公式の駅時刻表(2026年9月ダイヤ・平日)で数えました。辻堂は一部の列車しか停まらないうえに、通勤のコアタイムである7時台がゼロです。実際に辻堂を通過する「湘南」も走っているので、「辻堂にも特急が停まる」という情報だけで判断すると、朝は使えないという話になりかねません。
乗るには乗車券のほかに特急料金が必要で、座席を指定しない「座席未指定券」でも指定席と同じ料金、車内で買うと事前料金+260円になります。具体的な金額は区間や買い方で変わるので、予約画面で確認してください。
葉山の通勤は町のどこに住むかで全く変わります。町の地域公共交通計画には「平日の上り路線の多くは概ね30分に1本程度」とあり(逗子駅と町の中心部を結ぶ幹線は日中でも1時間に3本ほど走っています)、町のアンケートでは駅までの移動手段として路線バスを挙げた人が48.3%、自家用車(自分で運転+家族の送迎)が28.1%でした。バス停から300m以上離れた「交通不便地域」も町内にあります(葉山町地域公共交通計画・2025年3月策定、およびそのアンケート分析結果報告書・2023年3月)。
軸2:住居費・相場
データの単位が混ざっています。辻堂は「藤沢市辻堂」の地区データ、藤沢は市全体(辻堂を含む内数)です。
中古戸建て(成約ベース)
| エリア | 平均価格 | 坪単価 | 平均築年数 | 平均駅距離 |
|---|---|---|---|---|
| 茅ヶ崎市 | 4,464万円 | 136.4万円 | 13.4年 | 20.1分 |
| 辻堂(藤沢市辻堂 地区) | 6,590万円 | 187.4万円 | 12.4年 | 17.6分 |
| 藤沢(市全体※辻堂含む) | 5,809万円 | 158.1万円 | 14.3年 | 15.4分 |
| 大船(鎌倉市大船 地区) | 7,045万円 | 151.3万円 | 17.8年 | 15.3分 |
| 鎌倉市 | 5,946万円 | 157.4万円 | 22.7年 | 14.9分 |
| 逗子市 | 4,545万円 | 136.0万円 | 20.5年 | 15.5分 |
| 葉山町 | 5,199万円 | 141.0万円 | 24.3年 | 34.0分 |
出典:ウチノカチ(utinokati.com)が国土交通省「不動産情報ライブラリ」の取引価格データを集計したもの(2026年9月閲覧/分析期間2022年9月〜2026年3月の全期間平均)。国の実取引データがもとなので、ポータルサイトの売出価格とは別のものです。ただし年間の取引件数は鎌倉市が300〜400件台、藤沢市が500〜900件台あるのに対し、葉山町は50〜90件、大船地区は10〜20件と母数に差があるので、母数の小さいエリアは数字が振れやすい点にご注意ください。
この表で気づいたことが3つあります。まず相場がいちばん手頃なのは茅ヶ崎と逗子で、戸建て坪単価はどちらも136万円。ただし茅ヶ崎は平均駅距離が20分なので、車か自転車が前提になります。
次に、辻堂を「藤沢市の一部」だと思って予算を組むと読み違えます。戸建て坪単価187万円は藤沢市の平均を19%上回っていて、7エリアでいちばん高いんですよね。駅前の再開発が効いているのだと思います。海側の地区も駅周辺と変わらない水準で、駅から離れても下がりません。
最後に葉山ですが、ここは駅からの距離で値段が決まりません。平均駅距離34分でも価格が落ちなくて、値段を決めているのは海岸線からの距離と、別荘地としての歴史のほうです。
あと、鎌倉の平均値はあてになりません。住宅地の公示地価の平均(坪79.8万円)だけ見ると茅ヶ崎(78.6万円)とほとんど同じなのですが、谷戸の傾斜地や擁壁、再建築ができるかどうかで個別の価格が大きく振れます。同じ住宅地の公示地価でも、鎌倉駅に近い小町は坪170万円台、内陸の関谷は坪36万円と5倍近い開きがあるので、平均を見るのではなく物件ごとに見るしかないエリアです。
軸3:子育て・保育園・学区
この軸は市町村単位です。辻堂には藤沢市、大船には鎌倉市の数字がそのまま適用されます。
保育園(2026年4月1日現在)
| 自治体 | 待機児童数 | 保留児童数 |
|---|---|---|
| 茅ヶ崎市 | 0人 | 296人 |
| 藤沢市 | 7人 | 440人 |
| 鎌倉市 | 1人 | 85人 |
| 逗子市 | 4人 | 15人 |
| 葉山町 | 7人 | 22人 |
出典:神奈川県「保育所等利用申込・入所待機状況」令和8年4月1日現在
ここは移住を検討するうえで重要なところだと思っています。「待機児童ゼロ」を信じてはいけません。
茅ヶ崎市は待機0人ですが保留児童は296人いますし、藤沢市は待機7人に対して保留440人です。待機児童というのは国の調査要領で決められた数字で、育児休業中で復職の確認が取れない方、特定の園だけを希望している方、求職活動を休止している方などを除外したあとの数になります。除外する前の、実際に入れなかった子どもの数が保留児童数です。藤沢市の場合、公式の待機児童は7人ですが、実際に入れなかった子は440人いるわけです。移住を検討するなら、見るべきは後者だと思います。
学童(放課後児童クラブ)は、市町ごとにまったく状況が違います
| 自治体 | 登録児童数 | 待機児童数 |
|---|---|---|
| 藤沢市 | 4,642人 | 156人 |
| 茅ヶ崎市 | 2,233人 | 213人 |
| 鎌倉市 | 1,431人 | 0人 |
| 逗子市 | 494人 | 0人 |
| 葉山町 | 390人 | 39人 |
| (参考)神奈川県計 | 105,477人 | 819人 |
出典:こども家庭庁「令和8年度 放課後児童クラブの実施状況(速報値)」2026年5月1日現在(2026年7月14日公表)
ここで注意していただきたいことが3つあります。
まず「湘南は学童が厳しい」と一括りにはできません。鎌倉市と逗子市は待機ゼロで、いちばん多いのは茅ヶ崎市の213人。しかもその茅ヶ崎市は保育園の待機が2年連続ゼロなので、保育が楽な自治体が学童も楽とは限らないということになります。
それから、保育園の「待機児童数」と学童の「待機児童数」を並べて比べないでください。さきほど書いたとおり保育の待機児童数には除外の規定がありますが、学童の待機児童数にはありません。同じ「待機児童数」という言葉でも絞り込みの度合いが違うので、比べるなら学童の待機児童数と、保育の保留児童数を並べるほうが公平です。
あと、学童の待機はいま減っている局面です。神奈川県全体で前年の1,067人から819人へ、全国でも前年の16,330人から14,713人へ減っています。「悪化している」という前提で読まないほうがいいと思います。
そのうえで、役に立ちそうな事実を書くと、茅ヶ崎市が公表している「児童クラブ待機児童解消対策」に、待機児童の学年別の内訳が載っていました。2025年4月1日時点で待機260人のうち、1年生26人、2年生28人、3年生53人に対して、4年生99人、5年生46人、6年生8人。つまり高学年が153人で、全体の約59%を占めています。
これが意味するのは、湘南の学童問題の実態は「入れない」ではなくて「低学年では入れるけれど、高学年になると押し出される」ということですよね。いわゆる小4の壁が数字にはっきり出ています。保育園のことばかり調べていると、この壁は見えません。子どもが小学校に上がって、しかも4年生になってから直面することになります。
なお茅ヶ崎市は、対策を打たなかった場合の待機児童数を令和11年度に670人と自ら推計したうえで整備計画を立てていますし、藤沢市も2025年度から2029年度にかけて7クラブを整備する計画を公表しています。どの自治体も手をこまねいているわけではない、というのは公平のために書き添えておきます。
出典:茅ヶ崎市「児童クラブ待機児童解消対策(令和8年度〜11年度版)」/藤沢市「放課後児童クラブ整備計画」
※茅ヶ崎市の260人は市の集計(4月1日基準)、上の表の213人はこども家庭庁の集計(5月1日基準)です。基準日も年も違うので直接比較しないでください。
行政の支援
| 項目 | 茅ヶ崎 | 藤沢 | 鎌倉 | 逗子 | 葉山 |
|---|---|---|---|---|---|
| 小児医療費助成 | 高校生世代 | 18歳年度末 | 18歳年度末 | 18歳年度末 | 高3相当 |
| 所得制限 | なし | なし | なし | なし | 公式に記載なし |
| 小学校給食費 | 実質無償 | 無償 | 無償 | 無償 | 2026年度は無償 |
| 中学校給食 | 選択制デリバリー | 選択制デリバリー(2030年度から全員給食) | 全員制デリバリー | 全員給食(食缶) | 全員給食(親子方式) |
いくつか注記させてください。逗子市が子ども医療費の所得制限を撤廃したのは令和5年4月診療分からで、2022年当時は「県内の市では初」と報じられました。ただし現在は横浜市なども撤廃済みなので、「逗子だけが先進的」という書き方は正確ではありません。鎌倉市は市の公式ページに所得制限についての記載がなく、2022年4月に撤廃されたと報じられています。茅ヶ崎市の給食費の「実質無償」は、国の交付金で保護者負担がゼロになっているものの、値上げがあれば負担が生じる可能性があると市が注記しているためです。
葉山町の給食費無償化は、国の交付金を使った年度単位の措置です。町の公式ページには「令和8年度より、小学生保護者は国の給食費負担軽減交付金を活用し給食費の全額無償化をしています」「中学生保護者は…令和8年4月から令和9年3月分を全額無償化」とあります。恒久的な制度ではないので、その前提で見てください。葉山町の医療費助成の所得制限と窓口負担については公式ページに記載を見つけられませんでした。記載がないから無いとは限らないので、検討される方は町に直接聞いたほうが確実だと思います。
小児救急について
これは通勤時間より重い条件になりうると思っています。
| エリア | 小児二次救急の受け皿 |
|---|---|
| 茅ヶ崎 | 茅ヶ崎市立病院 |
| 藤沢(辻堂含む) | 藤沢市民病院 小児救急科が24時間365日対応。救命救急センター併設 |
| 大船・鎌倉 | 湘南鎌倉総合病院(大船にあります・24時間)。ただし鎌倉市の公式ページも藤沢市民病院を案内しています |
| 逗子・葉山 | 横須賀市立総合医療センターに依存。受診前に電話が必要 |
藤沢市民病院の24時間365日体制が湘南東部全体の要になっていて、鎌倉市の公式ページですら藤沢市民病院を案内しているほどです。逗子と葉山は小児の二次救急が横須賀市側に流れる構造になっています。夜中に子どもが熱を出したときにどこへ行くのかというのは、幼児がいる家庭にとっては通勤時間より重い条件になることがあります。なお、かながわ小児救急ダイヤル #8000(平日18時〜翌朝8時、土日祝は24時間)はどのエリアでも使えます。
※医療体制は変わります。2026年8月時点の情報なので、受診前には必ず自治体の最新ページを確認してください。
軸4:生活利便・街の性格
| エリア | 買い物 | 車の要否 | 混雑・観光 |
|---|---|---|---|
| 茅ヶ崎 | ラスカ茅ヶ崎、そよら湘南茅ヶ崎、イオン茅ヶ崎中央など。市内の商店街は19 | 中。平坦なので自転車が足になります | 国道134号の夏の渋滞 |
| 辻堂 | テラスモール湘南(駅直結・専門店 約280店舗)で完結 | 低。平坦で、車がなくても暮らせます | 少ない |
| 藤沢 | 駅前に集積 | 低。4方向へ路線が伸びるハブ | 江ノ島方面は夏に混雑 |
| 大船 | 駅直結商業、GRAND SHIP、仲通商店街 | 低〜中。駅前で生活が完結 | 観光の混雑とはほぼ無縁 |
| 鎌倉 | 鎌倉駅側は観光地価格。日常の買い物は大船へ | 中〜高。ただし最も車が使いにくい | 慢性的な観光渋滞 |
| 逗子 | 駅前の商店街(市内に11)が中心で、大型商業施設はありません | 中。鉄道は強いが坂が多く道が狭い | 夏の海水浴シーズンのみ |
| 葉山 | 大型の商業施設はなく、まとまった買い出しは逗子・三浦へ | 高(ほぼ必須) | 夏の海岸道路 |
鎌倉で車を持つときの現実について少し書いておくと、鎌倉市の資料には市の道路網が「ほぼ鎌倉時代の形態を継承」していて、歴史的環境の保全などの制約から短期間での整備が難しい、と書かれています。実際、ETC2.0の走行データによる平均旅行速度は平日で県平均の6割程度、休日は5割程度で、時速20km/h未満の道路の割合は県平均の3.5倍。市のパーク&ライドの案内ページには「江ノ電の車内が慢性的に混雑しており、江ノ電沿線に住む方々への影響等が出ています」とも書かれています。車も電車も、休日は住民が観光客に負けるということですね。
葉山で車を持たない選択肢は、たぶんありません。鉄道駅がなくてバスは多くの路線で30分に1本ほど、大型の商業施設もない。リモート中心か車前提か、どちらでもないなら葉山は候補から外していいと思います。
エリア別・実際に歩いて感じたこと
ここからは実際に歩いた印象になります。
見に行き方は3パターンあって、妻と娘と3人で行くことが多かったのですが、私ひとりで回った日もありますし、たまに私と娘のふたりで行くこともありました。休日を使って半年ほど続けていた感じです。
先に、この記事の限界を書いておきます。見た深さがエリアによってかなり違うためです。
| エリア | 見た内容 |
|---|---|
| 茅ヶ崎 | 海側の建売を2件 |
| 辻堂 | 現在の自宅 |
| 藤沢 | 鵠沼・片瀬山・湘南台など約10件(最多) |
| 大船 | 北側を2件 |
| 鎌倉 | 材木座・雪ノ下を数件(中古含む)。七里ヶ浜方面は行っていません |
| 逗子 | 街を歩いただけ。物件は見ていません |
| 葉山 | 数件 |
逗子だけは物件を一件も見ていないので、以下の逗子の話は街の印象であって住宅の話ではありません。鎌倉も材木座と雪ノ下に限った話で、江ノ電沿線の海側は歩いていません。ここをぼかしてしまうと他のエリアの記述まで信用できなくなると思うので、先に書いておきます。あと、以下はあくまで私が歩いた日に私が感じたことなので、数字で裏が取れるものは併記しますが、印象の部分は主観です。
茅ヶ崎


まず思ったのは、道が狭いなということでした。これは体感だけの話ではなくて、市の資料でも都市計画道路の整備率が約57%(平成18年時点)にとどまっていて、国道1号の慢性的な渋滞と、東海道線をまたぐ南北道路の不足が課題として挙げられています。市は狭い道路の拡幅事業を今も続けているそうです。
もうひとつは、思っていたよりずっと静かだったこと。サーフィンの街というイメージが先にあったので、もっと賑やかな場所を想像していたんですよね。ただ、鉄砲通りのあたりを歩いていたら、めちゃくちゃおしゃれな個人店のドーナツ屋さんがあって、こういうお店がぽつぽつある感じが茅ヶ崎なんだなと思いました。
人口は約24.5万人で、2024年は転入超過が+734人。市内の商店街は19あって、2023年には「そよら湘南茅ヶ崎」が開業していますし、ラスカ茅ヶ崎にも2025年秋に新しい店舗が入っています。
静かに感じた理由は、たぶん別のところにあります。茅ヶ崎市の昼夜間人口比率は77.6で、これは湘南7エリアで最も低い水準なんです(藤沢92.3、鎌倉98.2)。つまり昼間は人が街の外に出ていく構造になっている。加えて商業が駅前に一極集中していないので、歩いていると密度が低く感じられるのだと思います。チェーン店で用が足りる暮らしを想定していると少し回遊が必要になるかもしれませんが、逆に個人店を開拓していく楽しみを取れる方には合う街だと思いました。
辻堂

南口の旧市街のあたりは、駅前がさみしいなと感じました。これは住んでいる今も大きくは変わっていません。
ただ、調べてみたら辻堂駅の1日平均乗車人員は56,371人で、茅ヶ崎駅(52,343人)を上回っているんですよね。1995年度と比べると+17%で、7エリアで最も伸びた駅でした。北口は湘南C-Xという約25haの再開発エリアで、テラスモール湘南だけでなく病院や法務局、パスポートセンターまで集まっています。商業だけの街ではありません。
そして2025年の秋、南口に29階建て・高さ約99mのタワーマンションが竣工しました。藤沢・茅ヶ崎・平塚あたりで供給された分譲マンションとしては最も高いのだそうです。私が「さみしい」と感じた風景は、いま変わりつつあります。
住んでみて分かったのは、坂がないことのありがたさでした。自転車が本当に楽で、子どもを乗せて走るのが苦になりません。葉山の高台や鎌倉の谷戸を見たあとだと、この差はかなり大きく感じます。海が近いのでサーフィンもしやすいですし、生活と趣味の動線が短いのは想像以上によかったです。
藤沢


飲み屋がとにかく多いな、というのが第一印象でした。これは体感なので数字の裏づけはありません。
そして、ひとつの「藤沢」の中に三つの顔があるんですよね。駅前は商業と飲食の集積で、南に下って鵠沼に入ると閑静な住宅地になり、北は湘南台のあたりまで住宅地が広く続いていて、利便性が高く、福祉施設も多い印象でした(湘南台のさらに北には長後や御所見といった、農地の多い地域が綾瀬・海老名との市境まで続いています。私が見て回ったのは湘南台までです)。同じ市内なのに暮らしの質感がまったく違います。片瀬山はモノレールが通っていますし、湘南台は駅前がにぎやかで、鵠沼を歩いていると江ノ電や川が出てくる。全部同じ藤沢市の話だとは、しばらく実感が湧きませんでした。
規模で言うと、藤沢駅はJRだけで1日103,067人が乗車します。小田急と江ノ電を合わせた乗降人員は1日約39万人で、湘南地域では最大です。鵠沼についてはSUUMOの「住み続けたい街ランキング2026 首都圏版」で総合1位になっていました(2026年9月発表)。閑静だと感じたのは私だけではなかったようです。
藤沢で約10件といちばん多く見たのは、この幅の広さのせいでした。鵠沼から湘南台まで、海の近さをどこまで諦められるかを実際に試していたことになります。
大船


バスロータリーと、大船観音。正直に言うと、それ以外の記憶があまり残っていません。
これは書きにくいのですが、書いておく価値があると思っています。データの上では、大船は7エリアでいちばん通勤が強いんです。乗車人員は91,259人でJR東日本の全駅中38位。藤沢に次ぐ湘南第2のターミナルで、茅ヶ崎や辻堂の1.6〜1.7倍の規模があります。4路線が乗り入れていて、湘南モノレールの起点でもあります。
商業も2021年にGRAND SHIPという大型複合施設が北口の再開発で開業していますし、鎌倉芸術館や大船フラワーセンター、湘南鎌倉総合病院もあります。SUUMOの「住みたい街ランキング2026」では43位で、これは湘南7エリアの中で鎌倉・藤沢に次ぐ順位でした。辻堂・茅ヶ崎・逗子・葉山はTOP50に入っていません。
つまり客観的には評価の高い街なんですよね。それでも私の記憶に残らなかったのは、たぶん私が「湘南に住む」という動機で回っていたからだと思います。大船に海はありません。求めていたものと、この街が持っているものが違っただけの話で、通勤の合理性を優先して湘南というブランドを必要としない方には、7つのなかでいちばん割の合う選択になると思います。
なお大船と藤沢のあいだには「村岡新駅(仮称)」が建設中で、2032年ごろの開業が目標とされています。東海道線では約100年ぶりの新駅だそうで、このあたりの街の姿はこれから変わっていくかもしれません。
鎌倉

観光客が多いです。2025年の観光客数は約1,620万人でした。南側、材木座のあたりは海が近いのですが、道が狭くて混んでいた印象があります。これは軸4で書いたとおり市の資料でも裏づけがありました。とはいえ134号沿いのテナントビルにおしゃれなお店が入っていて、そこでランチをしたのはよく覚えていますし、材木座のほうにも一軒家のレストランみたいなお店がありました。海が近くて店もあって、遊びに来るぶんには最高だなと思いながら歩いていた記憶があります。
北側は早い段階で我が家の条件から外れました。理由の大半は海までの距離で、これは数字で説明がつきます。もうひとつは歩いたときの街の明るさや人通りの感じだったのですが、こちらは完全に主観です。幼児を連れて歩く前提の自分にはそう感じた、というだけの話で、同じ場所を静かで落ち着くと感じる方がいることも分かります。
鎌倉は平均値で語れないエリアだと思います。相場の幅が極端に大きくて、傾斜地や擁壁、再建築ができるかどうかといった条件が物件ごとに違うので、歩いて回るより物件ごとに専門家と見たほうがいい場所です。ちなみに鎌倉の昼夜間人口比率は98.2で、7エリアで最も高い数字でした。観光地でありながら昼間も人がいる街ということになります。
逗子


街がコンパクトで、店が洗練されていました。茅ヶ崎を落ち着かせて磨いたような印象です。これは主観で、裏づけるデータは見つけられませんでした。リゾートマンションが並んでいるエリアにも行きましたし、入ったレストランもおしゃれでおいしかったです。
条件面では、逗子は保育の保留児童15人と7エリアで最も少なく、学童の待機はゼロ。中学校給食も全員給食ですし、始発で座って通勤できるという強みもあります。
ただ公平を期すために書いておくと、逗子市の人口は減少が続いていて、高齢化率は31.6%(後期高齢化率20.2%)と市が「県内でも高水準」と認めています。2024年は転出超過でした。街の規模が小さいということは、選択肢が少ないということでもあるんですよね。
それから、逗子では一件も物件を見ませんでした。街を歩いて好印象を持ちながら本気の候補にはしなかったのですが、東京まで58分という数字が当時の自分の条件では引っかかっていたのだと思います。
葉山


エリアごとに顔が違って、自然と、モダンでコンパクトな街並みが同居している感じでした。
意外だったのは山の印象が強かったことです。葉山といえば海だと思って行ったのに、実際に惹かれたのは高台から見える山のほうでした。長柄で見た家(あとで書きます)も、バルコニーから見えていたのは山です。これはあとで知ったのですが、葉山町の公式サイトには「海岸付近を除いては丘陵地が多い」「美しい山ひだと美林におおわれています」と書かれていました。町自身が海だけの町だとは言っていないわけです。長柄のほかに一色海岸や森戸海岸にも寄りました。
一方で暮らしの面では制約がはっきりしています。町内に鉄道駅がなく、大型の商業施設もない。町の人口ビジョンには、1人当たりの小売販売額が横浜の半分強で少ないこと、昼夜間人口比率が75.0%(平成22年国勢調査。令和2年は75.3)で「町民のおよそ4人に1人は、日中は町外へ通勤・通学等していて町内にはいない」ことが書かれていて、日常の買い物は逗子などに出る前提になります。
葉山は海の街だと思って行くと、山に出会います。そして山に住むと、買い物に出ることになります。
辻堂を選んだ理由
最終的に残ったのは3つで、そのうちふたつはまったく違う理由で落ちました。
| 候補 | 結果 | 理由 |
|---|---|---|
| 葉山・長柄(中古) | 断念 | 保育園。通える範囲に選択肢がほぼありませんでした |
| 藤沢・鵠沼(建売) | 断念 | 価格。予算オーバー |
| 辻堂 | 決定 | 利便性と自然環境のバランスがよかった |
葉山・長柄のこと
家を探しはじめて3ヶ月目くらいのときに、いくつか見てきた中でも葉山の長柄というところで、めちゃくちゃ素敵な家を見つけました。
立地としては、うまいこと高台になっていて、バルコニーに出ると葉山の素敵な山が見え、近くの木にリスが歩いているのが見えました。建物自体は28坪で決して広くはないのですが、土地に少し余裕があって、こじんまりとしたものでよければ畑にもできそうな気配。妻と娘と3人で見に行って、その日のうちにほとんど気持ちは決まってしまうほど魅力的でした。
ただ、気に入ったあとで保育園を調べたんです。通えそうな園を地図で数えて、距離を測って、それから園に直接電話をかけました。空きがないどころか、そもそも数えるほどの園がありませんでした。共働きで小さい娘がいる我が家には、これが決定的でした。先に調べておけや、という話なんですが、完全に抜けていました。
諦めたときのことは、実はあまり詳しく覚えていません。妻は子ども優先の人なので「それは仕方がないね」という感じだったと思いますし、揉めた記憶もありません。
鵠沼のこと
こちらは単純で、価格が予算に届きませんでした。鵠沼は坪190〜200万円台で、藤沢市の平均の1.2倍を超えます。憧れられている場所は、憧れられている分だけ相場に織り込まれているんですよね。当たり前のことなのですが、見に行くまで実感はありませんでした。
辻堂のこと
辻堂の家は、とてもバランスがよかったです。広さ、外観、内観、価格、立地。どれも突出して良いわけではないし完璧でもなかったのですが、全部が及第点を超えていて、これは候補になるな、と感じました。
決めてから住んでみて、スーパーが近くて海が近くて、利便性と自然環境が両立していることが分かりました。坂がないので自転車が楽ですし、サーフィンもしやすい。住んでみて、不満はありません。
ただ、辻堂の坪単価は7エリアでも高く(辻堂187万円に対して藤沢158万円、茅ヶ崎136万円)、海の近さと利便性の両立にはそれだけのコストがかかるということです。座って通勤するには片道1,000円のグリーン車を使うことになって(出社日はそうしています)、これは出社の回数がそのまま効いてきますし、駅前の商業集積も藤沢や大船には及びません。不満がないのは、これらを納得して住んだからだと思います。
保育園について
辻堂を選んだ理由のひとつに、保育園と幼稚園の数の多さがありました。実際、藤沢市は園の数が多いです。ただ、数が多いことは入れることを意味しません。
藤沢市の保留児童は440人で7エリアでいちばん多く、学童の待機も156人います。空きがなくて入れないケースは実際に相当あるんですよね。
我が家が入れたのは、ふたつの理由が重なったからでした。ひとつは、たまたま購入の時期に合わせて近隣に少し空きが出たこと。これは運でしかありません。もうひとつは、購入してから転入のタイミングを見計らって引っ越しを始めたことです。物件の購入と実際の転入を同時にせず、園の空き状況を見ながら住民票を移す時期をずらしました。これは意図的にやりました。
なので「辻堂なら保育園や幼稚園は大丈夫」とは、とても言えません。言えるのは、園の数の多さは入園のしやすさを意味しないということと、運が向く確率を上げる操作はできる、ということだけです。
今でも思うこと
葉山を諦めたことは、いまでも少し心残りです。海と、山と、あの眺望と、畑にできたはずの土地の余白。正直に言うと、まだ少し憧れています。
ただ、辻堂の暮らしには恵まれていると思いますし、妻が満足してくれているのがいちばんの救いです。家族の選択としては、これでよかったのだと思っています。
憧れで選ぶと失敗する3つのこと
自分たちの失敗と、失敗しかけたことから3つ挙げます。
1. 子育てインフラは、物件を見る前に調べる
葉山・長柄でやった失敗そのものです。物件を気に入ってから保育園を調べると、詰みます。順番としてはこうであるべきでした。
- 保育園は保留児童数を見る(待機児童数ではありません)
- 学童も同時に見る。しかも高学年で押し出される構造があるので、入学時ではなく4年生時点を想定する
- 通える範囲に現実的に何園あるかを数える。地図上ではなく、送迎の動線で
- 小児救急の受け皿がどこかを確認する
- そのうえで物件を見る
物件は感情で選んでしまうものなので、感情が動く前に条件を確定させておいたほうがいいと思います。
2. 憧れのエリアは、価格の階が違う
鵠沼で分かったことです。厄介なのは、市の平均値を見ていると気づけないことでした。藤沢市の平均は坪158万円ですが鵠沼は190〜200万円台ですし、辻堂も市平均を19%上回ります。「藤沢市なら手が届く」と思って鵠沼を見ると、想定と2割ほどずれることになります。
予算の調整には「エリアを変える」と「同じエリアでタイプを変える」の2通りがあると先に書きました。憧れのエリアを諦める前に、そのエリアの別のタイプを見る手はあると思います。
3. 日常の利便性は、憧れの外側にある
見落とされやすいことだと思いますが、憧れって風景に対して湧くものですが、暮らしは風景の外側で回っているんですよね。
葉山にも逗子にも大型の商業施設はありません。鎌倉は道が狭くて観光渋滞が慢性化していますし、葉山には鉄道駅がなくてバスは多くの路線で30分に1本ほどです。そして駅から遠いということは、都内通勤が現実的に厳しいということでもあります。葉山から東京まで約80分。週1〜2の出社なら成立しますが、毎日なら生活が大変になると思います。
風景に惚れたら、その風景の中で買い物と通勤と通院を1週間シミュレーションしてみてください。私はそれを保育園でだけやって、他をやっていませんでした。
まとめ:あなたの条件なら、どのエリアか
この記事を通して言いたかったのは、憧れの順番と、住んで正解の順番は、たいてい逆になるということです。
7エリアは「海の近さ」と「通勤のしやすさ」が逆相関しているので、最初にやるべきはエリアを比べることではなく、自分がどちらを削れるかを決めることだと思います。それが決まれば候補は半分になります。
そのうえで、条件別の推し順をもう一度置いておきます。
- 共働き+未就学児で毎日都内通勤なら → 辻堂・藤沢・逗子
- 座って通勤したいなら → 逗子・大船
- 予算を優先するなら → 茅ヶ崎
- リモート中心なら → 葉山・鎌倉がはじめて候補になります
- 車を持たないなら → 辻堂・藤沢・大船
- 海の近さを最優先するなら → 葉山・茅ヶ崎。ただし相場は上がります
そして最後にもうひとつだけ。保留児童数と、学童の高学年の状況を見てから物件を見てください。それだけで、私がした失敗は避けられます。
この記事を書いた人のこと
このブログの最初の記事なので、最後にもう少しだけ自己紹介をさせてください。
妻と私はふたりとも週0〜3日の出社という働き方で、娘はいま4歳です。2年半ほど前に都内の賃貸マンションから辻堂に移ってきて、戸建てを買いました。
生まれは東北の山間部で、山と田んぼと川しかないようなところで育っています。だからなのか、海の近くに住みたいという気持ちだけは人よりずっと長く持っていた気がします。あと、40歳までに引っ越しを20回くらいしていて、それが全部賃貸でした。大人になってからしっかりひとつの土地に腰を下ろすという判断をしたのは辻堂が初めてです。
また、移住してから一念発起して40代でサーフィンを始めました。夏の日の出が早いときは朝4時に起きて海に入って、7時前に戻って妻子の弁当を作って、娘を保育園に送ってから10時に仕事を始める、みたいな生活を2年以上続け、子の成長とともに自身の家事スキルとサーフスキルの成長を楽しんで生活しています。
このブログでは、湘南への移住を考えている人の課題解決や、楽しんでいただけるコンテンツを作りたいと思っています。私自身が移住を考えていたときに様々なブログや移住系のYoutubeを見て情報収集したり、移住を楽しみにすることができました。移住の話ってどうしても、きれいな写真と「豊かな暮らし」みたいな言葉で語られがちですよね。実際に朝の海はいいものです。ただ、決めるときに必要だったのはもっと細かい数字だったので、そういうものを同じ細かさで書いていきます。
通勤や車、保育園、津波、塩害といった移住の前後でよく聞かれることは、湘南移住のよくある質問20に短くまとめています。
この記事のデータについて
- 所要時間:日中の値。駅探の検索値をJR東日本公式の駅時刻表(2026年9月ダイヤ・平日)で確認。大船のみ朝ラッシュ時を併記
- 当駅始発・特急「湘南」:JR東日本公式の駅時刻表(2026年9月ダイヤ・平日)
- 混雑率:国土交通省「都市鉄道の混雑率調査結果」令和7年度実績
- 駅の乗車人員:JR東日本「各駅の乗車人員」2024年度
- 戸建て相場:ウチノカチ(utinokati.com)による国土交通省「不動産情報ライブラリ」取引価格データの集計(2026年9月閲覧/分析期間2022年9月〜2026年3月の全期間平均)。売出価格ではなく成約データがもと
- 葉山町の交通:葉山町地域公共交通計画(2025年3月)/同アンケート分析結果報告書(2023年3月)
- 葉山町の人口・小売:第2期葉山町人口ビジョン・総合戦略
- 土地:国土交通省 地価公示2026年
- 昼夜間人口比率:令和2年国勢調査 従業地・通学地集計(神奈川県公表)。葉山の75.0%のみ町の人口ビジョン(平成22年国勢調査)
- 人口・転入超過:各市町公式および総務省「住民基本台帳人口移動報告」
- 保育園:神奈川県「保育所等利用申込・入所待機状況」令和8年4月1日現在
- 学童:こども家庭庁「令和8年度 放課後児童クラブの実施状況(速報値)」2026年5月1日現在。学年別内訳は茅ヶ崎市「児童クラブ待機児童解消対策」(市集計・4月1日基準)
- 医療費助成・給食:各市町の公式ページ(2026年8月時点)
- 鎌倉市の交通:第2回鎌倉市スマートシティ官民研究会資料(2020年12月)、鎌倉市「パーク&ライド」案内ページ
- 観光客数:鎌倉市記者発表(2026年5月)
- 住みたい街/住み続けたい街ランキング:SUUMO(2026年版)
制度も相場もダイヤも変わります。検討される際は、必ず各自治体・事業者の最新情報をご確認ください。
アイキャッチ写真:joka2000/Wikimedia Commons/CC0(文字入れ・トリミングして使用)

