湘南の津波ハザードマップの見方|7エリアを駅から海まで見比べる

湘南の津波ハザードマップの見方 アイキャッチ(茅ヶ崎から葉山までの津波浸水想定の地図)

湘南への移住を考え始めると、周りの誰かに一度は「津波は大丈夫なの」と聞かれると思います。自分でもハザードマップを開いてみたものの、市ごとに地図の作りが違っていて、色の濃さが何を意味しているのか、どこまで本気で見ればいいのかが分からず、そのまま閉じてしまった人もいるのではないでしょうか。

このサイトは、都内から湘南の辻堂に家族3人で移住した会社員が書いています。2年ほど前に茅ヶ崎から葉山までの7エリアを歩いて家を探し、いまは海まで自転車で行ける場所に住んでいます。家を探していた当時は、物件の候補が出るたびにその住所でハザードマップを見直していました。

この記事では、茅ヶ崎・辻堂・藤沢・大船・鎌倉・逗子・葉山の7エリアごとに、駅から海までの範囲のハザードマップの画像を載せて、色がどこまでついているか、その市町の想定の数字、どの地図を開けばいいかを書いています。その前に、色の元になっている神奈川県の想定の前提を先に書き、最後に私がどの順番で地図を見たか、不動産会社の重要事項説明で何が説明されて何が説明されないのかを書きました。どのエリアが安全でどこが危険か、という判断をする記事ではなくて、地図の読み方と、家を探していたときに私がそれをどう見ていたかの記録です。

目次

見た地図は3つ、順番はこうでした

段階開いた地図見たものどこで見るか
エリアを絞っている頃各市町の津波ハザードマップ(PDF)駅から海までのどこまで色がついているか各市町の公式サイト(エリア別の節にURL)
物件が出るたび同じ地図を、その住所でその家の場所の色同上。Web地図版がある市はそちらでも見られる
物件が出るたび国土交通省の重ねるハザードマップ津波と洪水と土砂災害を同じ画面でhttps://disaportal.gsi.go.jp/
契約のとき不動産会社の重要事項説明水害ハザードマップでの物件の位置、津波災害警戒区域に入るかどうか説明を受ける場で。津波の地図は水害ハザードマップの義務に入っていないので、自分でも見ておく

出典:国土交通省「ハザードマップポータルサイト」、国土交通省 報道発表(令和2年8月28日施行の重要事項説明の改正)。いずれも2026年9月7日閲覧。URLは記事末の出典一覧にまとめています。

先に前提:色の元になっている想定は、2015年の県の一つの想定です

ハザードマップの色を見る前に、その色が何を前提に塗られているかを知っておくと、市ごとの地図の違いに惑わされずに済みます。湘南の5つの市町(茅ヶ崎市・藤沢市・鎌倉市・逗子市・葉山町)の津波ハザードマップは、いずれも神奈川県が2015年(平成27年)3月に設定した「津波浸水想定」をもとに作られています。県は「想定外をなくすという考えのもと」、発生間隔が「2千年から3千年あるいはそれ以上とされる」最大クラスの地震を含む9つの地震を検討し、そのうち浸水域と浸水深が最大になる5つの地震(相模トラフ沿いの海溝型地震の西側モデル・中央モデル、元禄関東地震タイプ、元禄タイプと国府津-松田断層帯の連動、慶長型地震)を重ね合わせて、浸水域と浸水深がいちばん大きくなる図を作っています。

前提条件も厳しめに置かれています。県の解説資料によると、潮位は「神奈川県沿岸の朔望平均満潮位(相模湾 T.P.+0.85m、東京湾 T.P.+0.9m)」、つまり満潮のとき。地盤は「地震動による地盤沈下のみを考慮し、隆起は考慮しないこと」となっています。地図の色は、この条件で5つの地震のうち最悪のものを取った結果です。藤沢市の資料では、最大の津波高をもたらす西側モデル(M8.7)について「30年以内の発生確率 ほぼ0%(発生間隔は2000〜3000年以上)」と添えられています。頻度が低いから見なくていい、という話ではなくて、地図の色がどういう性質の数字から来ているかを知ったうえで見る、ということです。

市町最大津波高さ(T.P. m)最大波の到達時間その津波高をもたらす地震
茅ヶ崎市9.616分相模トラフ中央モデル
藤沢市11.512分相模トラフ西側モデル
鎌倉市14.510分相模トラフ西側モデル
逗子市12.811分相模トラフ西側モデル
葉山町10.211分相模トラフ西側モデル

出典:神奈川県「津波浸水想定について(解説)」(平成27年3月31日公表・同年6月22日一部修正)表1「沿岸市区町ごとの最大津波高さ」 https://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/attachment/774580.pdf (2026年9月7日閲覧)。津波高さはT.P.(東京湾平均海面)基準で、海岸線での高さです。到達時間は「最大波」の到達時間で、第1波はそれより早く来ることがあります(藤沢市の資料では第1波の到達は6分)。

この表で見てほしいのは、数字の大きさそのものより、市町によって最大になる地震が違うこと、そして高い津波と早い津波が同じ地震とは限らないことです。たとえば慶長型地震は、県の表2では5市町とも最大波の到達が52〜78分と遅い一方で、鎌倉市では10.2mと10mを超える津波高になっています。ハザードマップの色は5つを重ねた最悪値なので、「この色は何分後に来るのか」は地図からは読めません。その点は市の地図の説明面に書かれているので、地図面だけでなく説明面も一緒に開いてください。

7エリアの地図を、駅から海までの範囲で見る

ここからはエリアごとです。画像は国土交通省の「重ねるハザードマップ」で配信されている神奈川県の津波浸水想定を、地理院地図の淡色地図に重ねたもので、駅を上のほうに、海を下のほうに入れて、だいたい東西4.7km、南北3km強の範囲を切り出しています(藤沢だけ海まで遠いので縦長、大船だけ津波ではなく柏尾川の洪水浸水想定です)。色の層は地図の文字が読めるように75%の濃さで重ねてあり、右上の凡例も同じ濃さにしてあります。凡例は浸水深で、いちばん薄い黄色が0.3m未満、だいだい色が1〜3m、桃色が3〜5m、赤が5〜10mです。以下の「どこが何色か」は、この配信データの色をそのまま読んだもので、数値は凡例の区分です。色の縁は住所検索で使うには粗いので、自分の候補地を見るときは各市町のWeb地図か、県の「e-かなマップ」か、重ねるハザードマップ本体を開いてください。なお、県のe-かなマップは同じ浸水深を0.3m・1m・2m・3m・4m・5m・10m・20mの9段階に分けていて、この記事の画像より区分が細かく、津波災害警戒区域に指定されている藤沢市と茅ヶ崎市の地図は「基準水位」で色分けされていて(藤沢市のWeb地図の表記は「津波浸水深(最大基準水位)」、茅ヶ崎市の2025年の地図は「Reference water level 基準水位」)、基準水位は「津波浸水想定の浸水深に、津波が建物等に衝突した際のせり上がり高さを加えた水位」(静岡県の説明)なので、同じ場所でも浸水深より大きい数字になります。地図によって色分けの基準が違うことは、見比べるときに知っておいたほうがいいです。

7エリアのうち辻堂は藤沢市、大船は鎌倉市に含まれるので、開く市町の地図は5種類です。市によって最新版の年度が10年近く違うので、いつの地図かは先に見ておいたほうがいいです。津波災害警戒区域という欄は、津波防災地域づくりに関する法律に基づいて県が指定する区域で、茅ヶ崎市の説明では「津波が発生した場合に、住民等の生命・身体に危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域で、津波災害を防止するために警戒避難体制を特に整備すべき区域」とされています。指定されている市とされていない市がありますが、これは危険度の格付けではなく、避難体制を整える区域を県が順に決めているもので、同じ県の浸水想定をもとにしているので、指定の有無で地図の色が変わるわけではありません。建築などに制限がかかる「津波災害特別警戒区域」は、国土交通省の集計(令和8年3月31日現在)では全国で静岡県伊豆市の1市だけで、神奈川県内にはありません。

茅ヶ崎

茅ヶ崎駅から海までの津波浸水想定の地図。駅周辺には色がなく、国道134号付近から海岸にかけて浸水深の色が濃くなる
茅ヶ崎:津波浸水想定(作成:神奈川県)を地理院地図に重ねたもの。出典:国土交通省「ハザードマップポータルサイト(重ねるハザードマップ)」を加工(背景:地理院タイル)。2026年9月7日取得

地図では、茅ヶ崎駅の周りと駅の北側(元町・新栄町・共恵・東海岸北)には色がついていません。駅から南へ1kmほど下りた東海岸南のあたりから0.3〜1mの黄色が始まり、国道134号に近づくと1〜3mのだいだい色、134号の海側から砂浜にかけてが3〜5mの桃色と、海岸線ぎわの細い帯の5〜10mです。西の柳島・南湖は相模川河口の低地で、0.5〜3mの色が川に沿って内陸のほうまで広がっているのが、この範囲の中ではいちばん目につくところです。

想定地震最大津波高さ(T.P. m)最大波の到達時間
相模トラフ西側8.617分
相模トラフ中央9.616分
元禄関東地震7.17分
元禄+国府津-松田連動7.17分
慶長型7.752分

出典:神奈川県「津波浸水想定について(解説)」表2(2026年9月7日閲覧)。

開く地図は茅ヶ崎市の「津波ハザードマップ」 https://www.city.chigasaki.kanagawa.jp/bosai/1001267/1001268.html です。茅ヶ崎市は2025年(令和7年)3月24日に県から津波災害警戒区域の指定を受けて地図を作り直し、同年9月に全戸配布しています(市ページ。神奈川新聞2025年9月13日の記事では最大9.6m・16分、津波避難ビルと避難地が計183カ所と報じられています)。地図は全体図のほかに沿岸部を東・中央・西で4分割したPDFがあり、Web地図は「まっぷdeちがさき」と県の「e-かなマップ」です。5市町の中でいちばん新しい地図です。

辻堂

辻堂駅から海までの津波浸水想定の地図。駅周辺には色がなく、海岸沿いと引地川沿いに浸水深の色がある
辻堂:津波浸水想定(作成:神奈川県)を地理院地図に重ねたもの。出典:国土交通省「ハザードマップポータルサイト(重ねるハザードマップ)」を加工(背景:地理院タイル)。2026年9月7日取得

地図では、辻堂駅の周りから辻堂元町・辻堂新町にかけては色がついていません。駅から海へ向かって1.1kmほど南に下りると0.3〜1mの黄色が始まり、辻堂西海岸・東海岸の南半分は1〜3mのだいだい色、辻堂海浜公園も1〜3mが中心で、海岸線ぎわの帯だけが5〜10mです。この範囲で色が内陸へ伸びているのは東側の引地川沿いで、鵠沼海岸のあたりは3〜5mの桃色が広く、川に沿って北へ、湘南新道の近くまで1〜3mと薄い黄色が入っています。海からの距離だけでなく、川沿いかどうかで色の入り方が変わる、というのがこの地図で分かることです。

辻堂は藤沢市なので、数字と開く地図は次の藤沢の節と同じです。

藤沢(鵠沼・片瀬)

藤沢駅から鵠沼・片瀬の海までの津波浸水想定の地図。駅周辺には色がなく、鵠沼海岸・片瀬海岸と境川沿いに浸水深の色がある
藤沢(鵠沼・片瀬):津波浸水想定(作成:神奈川県)を地理院地図に重ねたもの。出典:国土交通省「ハザードマップポータルサイト(重ねるハザードマップ)」を加工(背景:地理院タイル)。2026年9月7日取得

藤沢駅は海から3kmほど離れているので、この画像だけ縦長にしています。地図では、藤沢駅の周りと鵠沼松が岡の北側には色がついていません。鵠沼松が岡の南側から1〜3mのだいだい色が始まり、鵠沼海岸と片瀬海岸は1〜3mから3〜5mの色が広く、海岸線ぎわと引地川の河口付近が5〜10mです。境川に沿っては、柳小路駅のあたりの片瀬まで1〜3mの色が上がっています。境川の東側の片瀬山は丘なので色がなく、腰越は海岸沿いが5〜10m、内陸の腰越五丁目や目白山下駅のあたりまで3〜5mと1〜3mの色が入っています。

想定地震最大津波高さ(T.P. m)最大波の到達時間
相模トラフ西側11.512分
相模トラフ中央10.821分
元禄関東地震9.96分
元禄+国府津-松田連動9.86分
慶長型8.671分

出典:藤沢市「津波ハザードマップ(令和2年度作成)」ページの想定表 https://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/bousai/bosai/bosai/hazardmap/tsunami/h25hazardmap.html (2026年9月7日閲覧)。藤沢市の「想定津波の概要」PDFでは、地点別に湘南港海岸11.5m/12分、藤沢海岸8.8m/8分、片瀬漁港海岸7.9m/11分、第1波の到達は6分とされています。県の表では、江の島のがけ地を含めた藤沢市の最大津波高は11.6mです。

開く地図は藤沢市の「津波ハザードマップ(令和2年度作成)」で、地域ごとの津波避難マップ https://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/kikikanri/bosai/tsunamihinanmap.html と、Web地図の「ふじさわキュンマップ」 https://webgis.alandis.jp/fujisawa14/portal/index.html があります。津波避難ビルの一覧は2025年12月18日現在のものが公開されています。藤沢市は2021年(令和3年)3月22日に津波災害警戒区域の指定を受けています。

大船

大船駅周辺の柏尾川洪水浸水想定区域の地図。柏尾川沿いの低地に浸水深の色があり、両側の丘には色がない
大船:柏尾川の洪水浸水想定区域(想定最大規模)を地理院地図に重ねたもの。津波ではありません。出典:国土交通省「ハザードマップポータルサイト(重ねるハザードマップ)」を加工(背景:地理院タイル)。2026年9月7日取得

大船は海から離れていて、鎌倉市の津波ハザードマップは沿岸3エリア分しかなく、大船地域の図はありません。ここで見るのは津波ではなく、柏尾川の洪水浸水想定区域です。地図では、大船駅を挟んで柏尾川に沿った低地、笠間・大船・岡本のあたりに1〜3mのだいだい色が広く、川に近いところ(笠間や大船駅の東側)が3〜5mの桃色で、駅そのものもその境目あたりの色の中にあります。両側の丘、玉縄や岩瀬の高台には色がありません。海がないエリアだから地図を見なくていい、ではなくて、見る地図が変わるということです。

開く地図は鎌倉市の「洪水ハザードマップ」 https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/sougoubousai/kouzui.html で、柏尾川の図は「境川水系柏尾川版」で、令和5年3月に改定されたものです。想定は「想定最大規模」で、柏尾川は境川流域の24時間雨量632mmが前提です。Web地図は「鎌倉市防災情報マップ(かまくらわが街マップ)」 https://www2.wagmap.jp/kamakura-hazard/ です。県の柏尾川洪水浸水想定区域図は平成30年1月26日に公表されたもので、対象は横浜市・鎌倉市・藤沢市です。

鎌倉

鎌倉駅から由比ヶ浜・材木座の海までの津波浸水想定の地図。海岸から滑川沿いに駅まで浸水深の色がつながっている
鎌倉:津波浸水想定(作成:神奈川県)を地理院地図に重ねたもの。出典:国土交通省「ハザードマップポータルサイト(重ねるハザードマップ)」を加工(背景:地理院タイル)。2026年9月7日取得

地図では、由比ヶ浜・材木座・長谷・坂ノ下の海岸側の一帯が5〜10mの赤で(坂ノ下から稲村ガ崎へ向かう海岸ぎわには10〜20mの色も見えます)、そこから滑川に沿って北へ、若宮大路の両側が3〜5mの桃色、鎌倉駅の周りが1〜3mのだいだい色です。駅の北側、小町通りの北や雪ノ下、鶴岡八幡宮のあたりには色がありません。西の長谷から極楽寺へ向かう谷、東の大町から名越へ向かう谷は、谷の入口までは色があって奥にはありません。海岸から駅までのあいだで色が切れずにつながっている、という点が、ほかのエリアと違うところです。

想定地震最大津波高さ(T.P. m)最大波の到達時間
相模トラフ西側14.510分
相模トラフ中央12.626分
元禄関東地震9.29分
元禄+国府津-松田連動9.19分
慶長型10.277分

出典:神奈川県「津波浸水想定について(解説)」表2(2026年9月7日閲覧)。鎌倉市のページでは、最大津波高14.5mは西側モデルの七里ガ浜区間、最短の到達8分は元禄+連動の由比ガ浜区間とされています。市の由比ガ浜・材木座エリア版の地図面には、鎌倉海岸(由比ガ浜地区)の値として西側モデル13.0m/14分、元禄+連動7.7m/8分が載っています。

開く地図は鎌倉市の「津波ハザードマップ」 https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/sougoubousai/2503tshunamihazardmap.html で、令和2年4月作成、由比ガ浜・材木座/長谷・坂ノ下・稲村ガ崎/腰越・七里ガ浜の3エリアに分かれていて、それぞれ地図面と啓発面のPDFがあります。Web地図は「鎌倉市防災情報マップ(かまくらわが街マップ)」 https://www2.wagmap.jp/kamakura-hazard/ です。鎌倉市は津波災害警戒区域の指定を受けていません(2026年9月7日の県ページ閲覧時点)。鎌倉の材木座については、色がついていることを分かったうえで家を見に行った話をよくある質問の記事のQ8に書きました。

逗子

逗子駅から逗子海岸までの津波浸水想定の地図。駅を含む川沿いの市街地に浸水深の色がある
逗子:津波浸水想定(作成:神奈川県)を地理院地図に重ねたもの。出典:国土交通省「ハザードマップポータルサイト(重ねるハザードマップ)」を加工(背景:地理院タイル)。2026年9月7日取得

地図では、逗子海岸の海岸線ぎわと新宿のあたりが5〜10mの赤で(一部に10〜20m)、逗子駅の周りの市街地は1〜3mのだいだい色から3〜5mの桃色、田越川に沿って東へ、逗子・葉山駅のあたりまで3〜5mと1〜3mの色が続き、東逗子のほうへ行くと切れます。逗子駅は色の範囲の中にあります。周りの丘、桜山や小坪の高台には色がなく、久木は低いところにだけ1〜3mの色が入っています。市街地が川沿いの低地にまとまっているので、駅を含めて色がつく、という形です。

想定地震最大津波高さ(T.P. m)最大波の到達時間
相模トラフ西側12.811分
相模トラフ中央9.829分
元禄関東地震7.49分
元禄+国府津-松田連動7.39分
慶長型8.678分

出典:神奈川県「津波浸水想定について(解説)」表2(2026年9月7日閲覧)。逗子市のページでは地区別に、逗子地区10.4m/10分、小坪地区12.8m/9分とされています。

開く地図は逗子市の「津波ハザードマップ」 https://www.city.zushi.kanagawa.jp/kurashi/bosai/1001502/1001542/1001543.html で、平成25年3月作成・平成28年3月改訂、逗子地区と小坪地区の2分割です。5市町の中ではいちばん古い版です。津波の指定緊急避難場所は建物30施設・土地24箇所(2026年3月9日更新のページ)で、市の一覧 https://www.city.zushi.kanagawa.jp/kurashi/bosai/1001502/1001530/1001539.html にあります。Web地図は県の「e-かなマップ」へのリンクです。逗子市は津波災害警戒区域の指定を受けていません(同上)。一つ注意があって、逗子市のPDF(逗子地区)を開いて上の画像や県のe-かなマップと見比べると、色の分布が同じではありません。市のPDFでは逗子海岸沿いの新宿のあたりが黄色(1.2〜2m)で、逗子駅や市役所の周りのほうが緑から水色(3〜5m)と深く描かれていて、県の地図とは深い場所と浅い場所が入れ替わって見えます。PDFには県が2015年3月に示した想定図をもとに5つの地震を重ねたと書いてあるので、元の想定は同じはずですが、なぜ違うのかは私には分かりませんでした。逗子で候補地を見るときは、市のPDFと県のe-かなマップの両方を開いて、違っていれば市の防災担当に聞いてください。

葉山

葉山の森戸海岸から一色海岸までの津波浸水想定の地図。海岸沿いの帯と川沿いの低地に浸水深の色がある
葉山:津波浸水想定(作成:神奈川県)を地理院地図に重ねたもの。出典:国土交通省「ハザードマップポータルサイト(重ねるハザードマップ)」を加工(背景:地理院タイル)。2026年9月7日取得

葉山には駅がないので、森戸から一色までの海岸を中心に切り出しています。地図では、葉山港から森戸海岸・一色海岸・葉山御用邸の前までの海岸線ぎわが5〜10mの赤で、その内側、堀内の森戸川沿いと一色の下山川沿いの低地が1〜3mと3〜5mです。海岸から少し入ると丘になって色が切れ、堀内や長柄の内陸側、御用邸より東の丘には色がありません。海岸線に沿った細い帯と、川沿いの低地、というのがこの範囲の形です。

想定地震最大津波高さ(T.P. m)最大波の到達時間
相模トラフ西側10.211分
相模トラフ中央7.615分
元禄関東地震9.17分
元禄+国府津-松田連動9.17分
慶長型7.477分

出典:神奈川県「津波浸水想定について(解説)」表2(2026年9月7日閲覧)。町の堀内・長柄地区の地図には、堀内地区の葉山港海岸で8.8m/11分、葉山海岸で10.2m/9分(いずれも最大の津波高さ/最大津波の到達時間)と載っています。

開く地図は葉山町の「防災関連マップ」 https://www.town.hayama.lg.jp/soshiki/bousaianzen/2/3/1663.html で、一色・下山口地区と堀内・長柄地区の2枚に分かれています。ページには作成年度の記載が見当たりません(地図の欄外には、基図データが平成28年3月作成の町全図とあります)。Web地図は県の「e-かなマップ」で、町の「葉山町防災マップ」はPDFです。葉山町は津波災害警戒区域の指定を受けていません(同上)。

私が見た順番

エリアを絞っていた頃:各市町のPDFを開いた

湘南で家を探し始めた最初の半年は、休日に家族で7エリアを歩いて回っていた時期で(このあたりは7エリア比較の記事に書きました)、そのころに最初に開いたのが、上に並べた各市町の津波ハザードマップのPDFでした。市のPDFには浸水の色のほかに、津波避難ビルや避難場所の位置が同じ紙に載っているので、色の範囲と逃げ先を一枚で見ることができます。

この段階で見ていたのは、細かい色の濃淡ではなくて、駅から海までのあいだのどこまで色がついているか、という大づかみな範囲でした。海のそばに住みたくて探しているので、色がついている場所を全部外すという見方はしていません。津波のことを気にしていたのは妻より私のほうで、地図を開いているのもだいたい私でした。

物件が出てから:住所で見直した

エリアを絞ってからは物件を見に行くようになって(探し方は戸建てを探した記事に書きました)、物件の候補が出るたびに、その住所でハザードマップを見直していました。この段階で見ていたのは、その家の場所が何色か、です。住所で探すときは、市が用意しているWeb地図版(藤沢市なら「ふじさわキュンマップ」、鎌倉市なら「かまくらわが街マップ」)でも同じ想定の色を見られます。

このころ候補から外したのは、川沿いの低地で、津波の地図と洪水の地図の両方に色がつく場所でした。上の7枚でいうと、川に沿って色が内陸へ伸びているところがそれにあたります。津波の地図だけを見ていると気づかないので、国土交通省の重ねるハザードマップで津波・洪水・土砂災害を重ねて見るようにしていました。住所を入れるとその地点の情報が出ますが、ハザードマップポータルサイトのよくある質問にも「検索された地点その場所の情報が表示されない場合があります」「周辺の複数地点のリスクについても確認して面的なリスクの把握に努めていただくことを推奨します」とあるとおり、点ではなく周りごと見たほうがいいです。

契約のとき:重要事項説明で説明されるもの、されないもの

辻堂の家に決めて契約に進むと、不動産会社の担当者から重要事項説明の中でハザードマップの説明がありました。これは2020年(令和2年)8月28日から義務になったもので、国土交通省の発表では、「水防法に基づき作成された水害(洪水・雨水出水・高潮)ハザードマップ」における対象物件の所在地を説明することになっています。ここに津波は入っていません。藤沢市の不動産事業者向けのページでも、津波ハザードマップは「水防法以外の法律(津波防災地域づくりに関する法律)に基づくハザードマップ」として、水防法に基づく洪水・内水・高潮の地図とは別に整理されています。

ただし津波が重要事項説明と無関係というわけではなくて、神奈川県のページには「津波災害警戒区域内にある宅地や建物の売買及び賃借等については、宅地建物取引業法に基づく重要事項説明が必要となります」とあります。警戒区域に指定されているのは7エリアでは藤沢市(辻堂・藤沢)と茅ヶ崎市なので、この2市で区域内の物件を買う場合は、区域に入っていることの説明があるはずです。鎌倉・逗子・葉山は未指定なので、この仕組みの対象になりません。つまり、契約のときに津波の地図そのものを見せてもらえるかどうかは、法律で決まっているわけではなく、会社や担当者次第です。津波が気になる場合は、義務の説明を待つのではなく、自分で市の地図とWeb地図を見ておいて、分からないところを担当者に聞く、という順番のほうが確実です。我が家は契約までに何度も地図を見ていたので、聞くことはそれほど残っていませんでした。

地図を見るときに引っかかったこと

地図を見るときに分かりにくい点を、まとめておきます。

引っかかったことどう理解したか
色の濃さの意味浸水深(地面からの水の深さ)。県の5つの地震のうち最悪のものを重ねた値で、満潮・地盤沈下を前提にしている
標高(海抜)と浸水深別の数字。標高は地面の海面からの高さ、浸水深は地面からの水の深さ。地理院地図の標高は建物の高さを含まない
「到達時間」県の表は「最大波」の到達時間。第1波はもっと早い(藤沢市は6分)。慶長型のように1時間以上後に最大波が来る地震もある
市によって地図の年度が違う逗子市は平成28年改訂、茅ヶ崎市は2025年に作り直し。もとの県の想定は同じ2015年のもの
警戒区域の指定の有無避難体制を整える区域の指定で、危険度の格付けではない。地図の色は指定の有無で変わらない
住所検索で出る色その地点の情報が出ないことがある。周りの複数地点も見て面で把握する(ハザードマップポータルサイトFAQ)
重ねるハザードマップと市の地図元の想定は同じだが、重ねるハザードマップは重要事項説明には使えないと明記されている。最新の詳しい情報は市町の地図で
地図によって色分けの基準が違う県のe-かなマップは浸水深9段階、藤沢市・茅ヶ崎市の地図は基準水位(浸水深+建物へのせり上がり)。同じ場所でも数字が違って見える
市のPDFと県の地図で色の分布が違う(逗子)同じ想定をもとにしていると書いてあっても、逗子市のPDFは深い場所と浅い場所が県の地図と入れ替わって見える。両方見て、違えば市に聞く

出典:神奈川県「津波浸水想定について(解説)」、国土地理院「標高タイルの作成方法と地理院地図で表示される標高値について」 https://maps.gsi.go.jp/development/hyokochi.html 、国土交通省ハザードマップポータルサイト「よくある質問」 https://disaportal.gsi.go.jp/hazardmap/faq/faq.html /「利用規約」 https://disaportal.gsi.go.jp/hazardmap/copyright/copyright.html (いずれも2026年9月7日閲覧)。

100年前に来た津波

想定の数字だけだと実感が持ちにくいので、実際に来た津波も一つ書いておきます。1923年(大正12年)の関東大震災では、国土技術政策総合研究所の資料によると、由比ヶ浜で6.0m、葉山で6.0m、江の島で7.1mの浸水高(T.P.基準)が記録されています。内閣府の広報では鎌倉の津波の高さは「5~6mとされ(9mと記されている文献もあり)」とされていて、江ノ電の由比ヶ浜停留所付近で標高4〜5mまで遡上したと書かれています。

県の想定の最大津波高(鎌倉市14.5m)はこの記録より大きい数字ですが、想定のほうは海岸線での津波の高さ、記録のほうは陸に上がった水の高さ(浸水高)で基準が違うので、そのまま比べることはしていません。ここでは両方の数字を並べるだけにします。なお地震保険は「地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災・損壊・埋没または流失による被害を補償する」ものとされていて(財務省)、津波の被害は火災保険ではなく地震保険の範囲です。

まとめ

7エリアの地図を駅から海までの範囲で並べると、海岸沿いの帯が濃く、川に沿って内陸へ色が伸び、丘で切れる、という形はどこも同じで、違うのは駅がその色の中にあるか外にあるか(鎌倉・逗子は中、茅ヶ崎・辻堂・藤沢は外、葉山は駅がなく、大船は津波ではなく洪水)と、海岸から色が切れずに駅までつながっているかどうかでした。地図の色は、2015年に県が置いた最大クラスの想定を、満潮と地盤沈下を前提に5つの地震で重ねたもので、市によって地図の年度や分け方は違っても、元は同じ一つの想定です。

家を探していた当時の私は、エリアを絞る段階で各市町のPDFを開いて色の範囲と逃げ先を見て、物件が出るたびにその住所で色と洪水の地図を重ねて見直して、契約のときに重要事項説明で洪水の地図の説明を受けました。津波の地図は水害ハザードマップの説明義務に入っていないので(警戒区域に指定されている藤沢・茅ヶ崎では区域内であることの説明はあります)、自分で見ておかないと地図そのものは誰も見せてくれないことがあります。色を見て候補から外すのか、色を分かったうえで海のそばを選ぶのかは、最後は家族で決めることになると思います。我が家は、川沿いの低地で津波と洪水の両方に色がつく場所を外して、それ以外は色を分かったうえで見に行きました。

出典一覧

想定もハザードマップも更新されます。検討される際は、必ず各市町・神奈川県の最新の地図をご確認ください。

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この記事を書いた人

都内のIT企業で働く40代。妻と保育園児の娘の3人暮らし。都内の賃貸マンションから湘南・辻堂へ移住し、戸建てを買い、途中からサーフィンを始めました。移住を決めるまでに考えたことと、住んでからのリアルを書いています。

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